社会調査論・DNA論は、ケアイノベーション協会が執筆しています。
DNA鑑定の用途
DNA鑑定は、親子鑑定や犯罪捜査、医療診断に使われるばかりではありません。パートナー探しにもDNAが使われるようになっています。
男女の間で恋愛感情が生じるメカニズムにもDNAが機能しているとされています。異性に魅力を感じるときには、「自分が持っていない免疫メカニズムを持っている相手に惹かれる」という説があります。これは免疫系のHLA(ヒト白血球抗原)遺伝子が異なる相手に魅力を感じる傾向があるというものです。(HLA型は体臭の種類を決めるともされていて、自分と違う体臭の異性に魅力を感じるともいわれています。)
この遺伝子が異なる異性と出会う方法を提供するサービスが出現しています。
代表は「ScientificMatch.com」です。口腔粘膜を採取して送ると、HLA遺伝子から「遺伝子的に適した」相手を紹介してくれるサービスです(趣味や性格など、従来のプロフィールのマッチングもしています)。
遺伝子的に適したカップルは、セックスの相性も良いという説もあります。そのため、浮気の発生率も低く、愛情が長く続き、より健康な子供にも恵まれる可能性が高いと企業は謳っています(真偽は不明)。
HLA型ばかりが異性に惹かれるメカニズムではなく、他にも複雑で、多様な仕組みが動いています。そのため、遺伝子的に適していても、個性や身体的外見が受け入れられないことも想像できます。
ただし、今後、人との関係構築にDNAが使われることが普通になる時代は遠くないようです。
終末期ケアの資格
DNA鑑定
DNA鑑定専門会社は、主に裁判所や弁護士などからの委託でDNA鑑定業務を行っています。しかし、自社で専用の検査施設を持っている企業は少なく、ほとんどの企業が米国にDNA鑑定検査を委託しています。また、DNA保存業務などのサービスを提供する、DNA保存サービス業も併せて行っている会社もあります。
DNA鑑定のサンプル取得は、依頼人にキットを郵送し、個人が自ら口腔粘膜などを採取したものを、郵送で返信してもらう方法が多いです。裁判所に鑑定結果を提出する検査の場合は、社員立会いの下で、DNA鑑定サンプルを採取します。DNA鑑定検査は、ほとんどのDNA鑑定会社では実施せずに、米国のDNA鑑定検査会社などに委託しています。
国内のDNA鑑定会社の多くは受付窓口の役割を行っているだけで、DNA情報の保護という意味では、米国のDNA鑑定検査会社がどのように業務を行っているかが大きな問題です。米国の委託を受けている会社は比較的大手の検査会社で、このような大手の会社はガイドラインを定めて、法令を遵守して業務を行っています。
日本国内には、DNA保存サービスを提供する会社が数社あります。個人のDNAを保管するのが一般的ですが、個人がDNAを家庭で保管するときに役立つ商品(保管容器など)を販売している会社もあります。
葬儀会社の中には、DNA保存サービスを行っている企業もあります。個人のDNAが格納された位碑などを販売することもしています。葬儀社のDNA保管サービスは、遺族からの依頼により故人のDNAを保存するというものが多いです。このとき、葬儀を行う葬儀社からDNA保管ができる葬儀社にDNAサンプルが委託されることもあります。
(経済産業省「個人遺伝情報の取扱いに関するアンケート調査」より)
終末期ケアの資格
DNAと多死時代
超高齢社会のただ中にある日本にとって、死の概念は重要なものとなっています。DNAは生物学的に継承されていくものですが、死は個人としての終末を意味しています。死は個人的には終末であっても、DNAという視点からいえば、連続の中の区分に過ぎず、死の概念に時系列的な広がりを与えてくれるものである。
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