社会調査論・DNA論は、ケアイノベーション協会が執筆しています。
親子鑑定
親子鑑定とは、生物学的な親子関係の「ある/なし」を医学・生物学的な方法で検査し、決定することをいいます。
親子鑑定の検査項目は、次の3つに大別されています。
(1)産科学的検査:受精時期、妊娠期間、擬父の生殖能力など
(2)人類学的検査:顔貌相似度、皮膚紋理、耳垢や味覚型など
(3)血液型(遺伝標識)の検査
遺伝子(DNA)鑑定は、(3)の検査に入ります。血液型の検査の中でも、DNAを用いた検査は非常に高い確度があるので、(1)や(2)の検査方法があまり意味がなくなってきている。
欧米では、1980年代後半から、WierやBrennerらが多くの研究を蓄積し、検査の精度管理など、応用技術が洗練され、遺伝子(DNA)鑑定が確立しました。
日本では、遺伝子(DNA)鑑定が導入される時点では、検査の精度管理(検査法や結果評価の精度管理)が十分でなかったため、検査や結果の信頼を損なってしまいました。
今日では、叔父/姪間など、比較的遠い血縁関係の推定なども可能になっており、家族関係の確認や家系図作成における遺伝子(DNA)鑑定の可能性は広がっています。
また、大規模災害、テロ、戦没者遺骨収集作業など、多数対多数における血縁鑑定が可能となっています。
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DNA鑑定の用途
DNA鑑定は、親子鑑定や犯罪捜査、医療診断に使われるばかりではありません。パートナー探しにもDNAが使われるようになっています。
男女の間で恋愛感情が生じるメカニズムにもDNAが機能しているとされています。異性に魅力を感じるときには、「自分が持っていない免疫メカニズムを持っている相手に惹かれる」という説があります。これは免疫系のHLA(ヒト白血球抗原)遺伝子が異なる相手に魅力を感じる傾向があるというものです。(HLA型は体臭の種類を決めるともされていて、自分と違う体臭の異性に魅力を感じるともいわれています。)
この遺伝子が異なる異性と出会う方法を提供するサービスが出現しています。
代表は「ScientificMatch.com」です。口腔粘膜を採取して送ると、HLA遺伝子から「遺伝子的に適した」相手を紹介してくれるサービスです(趣味や性格など、従来のプロフィールのマッチングもしています)。
遺伝子的に適したカップルは、セックスの相性も良いという説もあります。そのため、浮気の発生率も低く、愛情が長く続き、より健康な子供にも恵まれる可能性が高いと企業は謳っています(真偽は不明)。
HLA型ばかりが異性に惹かれるメカニズムではなく、他にも複雑で、多様な仕組みが動いています。そのため、遺伝子的に適していても、個性や身体的外見が受け入れられないことも想像できます。
ただし、今後、人との関係構築にDNAが使われることが普通になる時代は遠くないようです。
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DNA鑑定
DNA鑑定専門会社は、主に裁判所や弁護士などからの委託でDNA鑑定業務を行っています。しかし、自社で専用の検査施設を持っている企業は少なく、ほとんどの企業が米国にDNA鑑定検査を委託しています。また、DNA保存業務などのサービスを提供する、DNA保存サービス業も併せて行っている会社もあります。
DNA鑑定のサンプル取得は、依頼人にキットを郵送し、個人が自ら口腔粘膜などを採取したものを、郵送で返信してもらう方法が多いです。裁判所に鑑定結果を提出する検査の場合は、社員立会いの下で、DNA鑑定サンプルを採取します。DNA鑑定検査は、ほとんどのDNA鑑定会社では実施せずに、米国のDNA鑑定検査会社などに委託しています。
国内のDNA鑑定会社の多くは受付窓口の役割を行っているだけで、DNA情報の保護という意味では、米国のDNA鑑定検査会社がどのように業務を行っているかが大きな問題です。米国の委託を受けている会社は比較的大手の検査会社で、このような大手の会社はガイドラインを定めて、法令を遵守して業務を行っています。
日本国内には、DNA保存サービスを提供する会社が数社あります。個人のDNAを保管するのが一般的ですが、個人がDNAを家庭で保管するときに役立つ商品(保管容器など)を販売している会社もあります。
葬儀会社の中には、DNA保存サービスを行っている企業もあります。個人のDNAが格納された位碑などを販売することもしています。葬儀社のDNA保管サービスは、遺族からの依頼により故人のDNAを保存するというものが多いです。このとき、葬儀を行う葬儀社からDNA保管ができる葬儀社にDNAサンプルが委託されることもあります。
(経済産業省「個人遺伝情報の取扱いに関するアンケート調査」より)
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DNAの基礎
DNAとは、Deoxyribo Nucleic Acidの頭文字です。
日本語にすると「デオキシリボ核酸(かくさん)」です。このDNAは高分子生体物質で、地球上のほぼ全ての生物で、遺伝情報を担う物質となっています。
DNAの長さはさまざまで、塩基の対で形成されています。長さの単位は二本鎖の場合 bp(base pair:塩基対)またはkbp(1kbp=1000bp)、一本鎖の場合 b または nt(base、nucleotide: 塩基、ヌクレオチド)と表されます。
「DNA鑑定」と「DNA診断」は、素人にとって同じように思えます。しかし、「鑑定」と「診断」はまったく違うものです。
DNA鑑定は、あくまで「鑑定」です。何らかの対象物を白黒つけるのが鑑定です。DNA鑑定の場合、対象はDNAで、判定するものは、「血縁関係にあるか」「証拠物(体液や毛髪)のDNAと鑑定対象のDNAが同一か」です。
一方、DNA診断は、「診断」であって、病気を生じさせる遺伝子があるかどうかを判別するものです。
通常、DNA鑑定では、個人を特定するために用いられる遺伝情報を対象として鑑定されます。そのため、DNA鑑定をしたからと言って、DNA診断のような「どのような病気になるか」という情報が得られるわけではありません。
DNA診断のときには、そのDNAの持ち主がどのような健康情報を持っているのかを診断するための、病気についての遺伝情報の特定部位を分析することになります。
たとえ本当の親子の間柄であっても、親と子のDNAは異なります。DNAは子孫に受け継がれていきますが、母親、父親のDNAをほぼ半分ずつ受け継ぐため、まったく同じDNAではないのです。
そのため、親子関係の鑑定をする場合には、同じ遺伝子情報をどのくらい持っているかで親子関係の有無を判断します。
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DNAと多死時代
超高齢社会のただ中にある日本にとって、死の概念は重要なものとなっています。DNAは生物学的に継承されていくものですが、死は個人としての終末を意味しています。死は個人的には終末であっても、DNAという視点からいえば、連続の中の区分に過ぎず、死の概念に時系列的な広がりを与えてくれるものである。
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社会調査
社会調査は、第一次資料としてのデータを収集するだけでなく、もともとこのようなデータを処理し、分析ないし記述する作業を行なうためにデータを収集しているのであるから、この過程を当然のことながら含むことになる。
したがって社会調査は、①社会事象を対象とし、②現地調査でデータを直接収集し、③そのデータを処理、分析、記述する、①~③の全作業過程と定義することができる。
研究者が社会調査を行なう場合には、②の実査過程ととらに、③の方法についても慎重な検討が要請される。つまり、データの質の問題と、分析・記述された結果の妥当性・説得性の問題がつねに問われるために、それらを保証する前提条件として、方法の客観性を保持することが必要になる。社会調査におりる方法の存観性を保つには、採用された方法が調査方法として妥当であり、かつ条件次第で他の研究者による追調査が可能であり、さらにデータ収集と処理および分析の方法が明示されていることが必要である。
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